コピーライター 吉沢弥重子
松岡太和さんを知るために何人かの方にお話を伺い、昭和の初めのころに松岡さんが書かれた雑誌を読んだりしていると、まるでタイムトリップをしたような感覚になりました。そして、知れば知るほど松岡さん自身に夢中になりました。写真をご覧いただくとお分かりになると思いますが、ハンサムで雰囲気のある素敵な紳士です。妻のアヤさんもこんなに素敵な男性だからこそ、恋をしたのでしょう。お二人は彩漆画という夢を、二人で共有していました。太和さんが自由に描けるように、アヤさんはバリバリのキャリアウーマンとして昼間は教壇に立ち、夜は自宅を開放して塾を開いて経済的に支えていたのです。
「松岡を大家にしたいけど、私には商才が無いから」といっていたというアヤさん。愛する人の夢が自分の夢になる。太和さんにとってこれほど強い味方はありません。絵画としての漆絵をひとつのジャンルとして確立する。その夢は現在、世界で少しずつ広がっています。大正から昭和の時代に、これほど熱い画家がいたことを知ることができてとても幸せです。多くの皆様に彩漆画を知っていただき、松岡太和という画家の情熱が伝わりますように。