二科賞に入った秋、当時駒込坂下町の講談社の裏にいたころ2階の廊下から、林町の須藤さんの庭を逆行で写生した。祭日で路地の軒にも国旗が見え、森の上空には白日燦として輝き伝習の上部にかかって落雷の如く地上に連なって見えた。会場での鑑賞者はこの中央の突端が消えた円柱を不思議がっていたが、山本鼎氏は私のこの年の出品作6点を見て、草土社風の細密描写と異なっている点を新聞で好評されていた。
60.6×80.4cm
1916年(大正5)